ずっと本にしたいと言ってくれていた 【えま×アユミ ② 】

気仙沼漁師カレンダー

漁師カレンダーの歩みが書籍として出版されたことがうれしくて、本の中でも紹介された気仙沼つばき会のルーキー・根岸えまさんと鈴木アユミさんにお話を聞きました。
「海と生きる」の感想を聞いた第1回に続き、第2回は著者、唐澤和也さんのお話など。

「海と生きる」を読んで感じたこと 【えま×アユミ ① 】|気仙沼漁師カレンダー
気仙沼漁師カレンダー10年の歩みが書籍になった! このとてもうれしい出来事を、ぜひnoteの記事にも残したいと気仙沼つばき会の根岸えまさんと鈴木アユミさんに、書籍について、漁師カレンダーについて、改めて聞かせてもらいました。 左・根岸えまさ...


ふたりは漁師カレンダーの制作時、
被写体となる漁師さん達を口説き落とし、撮影チームをアテンドする役割を担っていました。プロジェクトにライターとして関わってくださっていた唐澤和也さんの取材にも同行していたため、その唐澤さんが漁師カレンダーの歩みを一冊の本にまとめてくださったことにはひときわ感慨深いものがあるそうです。

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漁師カレンダー撮影のアテンド役を担ってきた
根岸えまさん(左)と 鈴木アユミさん(右)

「本にしたい!」 夢を語っていた唐澤さん


ー気仙沼漁師カレンダーは、最初から10年続けると決めて2014年版からスタートし、2024年版で最終章の10作目を迎えました。漁師カレンダーの制作時、ふたりは著者の唐澤さんのアテンドもしていたわけですが、書籍化の話はいつ頃からあったんですか?

アユミ
なんか、実は昔から書籍化したいね、という話はあったんですよね。
もともとプロデューサーの(竹内)順平くんも、1作1作全部素晴らしいのに、それが10年でただ終わってしまうのは、すごくもったいないと言ってくれていたんです。書籍化なのか、海外でのカレンダー展示なのか、もうひとつ先にステップがあるんじゃないかって。

えま
そして、ライターの唐澤(和也)さんは唐澤さんで、ずっと本にしたいって言ってくれていたんですよ。
気仙沼の女たちの本というか、つばき会の「ダブルかずえ」さん、小野寺紀子さんの印象が多分強くて「この強烈な人達を記録に残したい、本にしたい」と。
「その時はえまちゃんも取材するからヨロシク!」と、撮影後の飲みの席で言われました。「いやいや、私なんて」みたいな感じだったんですけど。

― 撮影アテンドの後の食事の時に、唐澤さんが書籍化の夢を語っておられたんですね!その時はどうなるかかよく分からないけど楽しい夢として聞いてたかんじ?

アユミ
そうですそうです。めっちゃ壮大な夢を今にも実現しそうな勢いで語っていて。

えま
そうそう。本当につばき会に惚れているなって唐澤さんからすごく伝わってきて。それが!結果この漁師カレンダーの本となって!
唐澤さん、有言実行の男だった(笑)飲んでる時だったし、はいはいって聞き流してたのに!

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有言実行。


―つばき会の面々も夢を語るけど、唐澤さんも夢を語る人だったんですね(笑)
漁師さんへの取材にも同行し、今回の書籍では取材される立場にもなった二人から見て、唐澤さんはどんな方ですか?

えま
すごく好奇心が強くて、漁師さん達の話を聞いている時も、すぐその世界に入り込むんです。目の前にいる人に興味をもってどんどんどんどんいろんな事を掘り下げていく。

アユミ
ちょっとした言葉にも引っ掛かって「それそういうことですか?」「すごいっすね!」みたいに。本当に人のいろんな話を聞くのが好きなんだな、という印象でした。
あと「深掘りし過ぎないところ」と「深掘りした方がいいところ」の線引きがすごいなと感じました。深入りしちゃいけないところでは一歩引いて、でも深掘りするところはすごい深くまで掘り下げて。

えま
心地いいですよね。深掘りされているほうも。
自分のプライベートについて、聞かれたくないところは聞かずに、でも大事なところは掘り下げて聞いていくみたいな。すごいプロですね。

アユミ
そして聞いた話を表現する時も、面白おかしくクスッと笑える話に変換してくださっていて。

えま
この本にも、クスっと笑っちゃうところが随所に散りばめられていますよね。

ー泣き笑いもあって。登場人物の持ち味や語り口が眼に浮かぶようでした。

えま
絶妙ですよ。書籍からは、カレンダーの制作期間である10年間の蓄積も感じましたね。漁師さんや漁業に対しての知識量も含め、いろんな知識があるからこそ、聞き出せる話もありますし。10年間やってなかったら、このような本は書けないですよね。

ーそうですよね、漁師カレンダーの歩みを描く中で、気仙沼の文化風土や、漁師町としての姿、いろんな魚種の漁業の形についても触れられて。

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気仙沼漁師カレンダー 全10作品
書籍には10作品すべての写真家のインタビューも
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なぜこうしたカレンダーになったのか
書籍を読むとそれぞれの写真家の
視点や撮影の姿勢にも触れられる

写真家のみなさんにも感謝を伝えたい

えま
カメラマンの皆さんに、本当はこの本も直接手渡したいような気持ちです。いつかまた会いたいですね。

アユミ
会いたいー。

えま
なんか皆さん、撮影の時はお会いして色々お話ししたんですけど、カレンダーが形になってからはお会いできてないんですよね。ちゃんとしたお礼を言えていないっていうか、感想も言えてないような気持ちがあります。

ー 撮影時は近しい距離感でアテンドされていたんですね。書籍では10作品の写真家さん全員にインタビューをしていて、それぞれの視点や撮影の背景に触れることができて、その点もとても興味深かったです。

アユミ
みなさん楽しそうに撮影してくださっていました。テンション、めっちゃ上がってましたよね!

えま
うん、うん。楽しそうだった。いきいきしてた(笑)

アユミ
竹沢うるまさんとかも、すごい自然に返ったような感じで「凄い衝動とワクワクがとまらないです」って言ってて。気仙沼の漁師を撮影して、そんなふうに思ってくれるんだと嬉しかったです。
自然相手で、予定も全然立たない中での撮影だったんですが、なまものを撮る感じがあったのかと思います。

えま
ほんと、キラキラした日々でした。苦労を忘れてフィルターかかっているところもあると思うけど(笑)

(③へつづく)